【短編】 ほわいと
そう思うと行動が早い俺。
果帆が背中を向けているのを確認して、チェストの上に手を伸ばした。
手のひらに収まる小さな箱が、微かな重みを持つ。
小さいのに存在感は抜群で、これからのことを考えると、とても大きな意味を持っていて。
一度、大きく深呼吸をしてから、その場を立った。
まだキッチンで白いモノを探している果帆に近付いた。
「ねぇ、本当に白いモノないね。黒ばっかり」
俺に気付いた果帆が呆れ顔で俺を見上げる。
それに笑顔を返す余裕なんて、俺にはなくて。
「……どしたの?」
視線の先で不思議そうに見つめる果帆の顔が揺れる。
こんなとこで緊張してどうする、俺!
今だ、今だーっ!!