【短編】 ほわいと



「……ほら、白いモノ見つけた」


手のひらに握り締めていた箱が果帆の真っ白な手に乗る。


「……え、これ…」


果帆が、箱を開ける前に勘づいたのか、俺を見上げる。

まん丸な瞳をもっと丸くして、頬をピンクに染めて。


「…その顔は開けてからしろよ」


その俺の言葉に、果帆がゆっくりと箱を開ける。


中には……


「……これ、シルバーだし…」


果帆の白い手に映える、綺麗なシルバーの指輪。


小さなダイヤモンドが埋め込まれたソレは、俺がコツコツ貯めてきた貯金で買ったモノ。


果帆のためなら…と思って買ったのは、半年以上前。


こんなに遅くなったのは、俺の勇気の無さを表していた。








< 8 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop