たった一つのプレゼント



目の前にいる
迅の表情は
希望に満ちていた。



ねぇ



だけど私は



どこへ行けばいいのだろう





「魅麗は…?夢、ないの?」


「あるわけないじゃん」


「だよな」




本当に
慰めの言葉とか
そういう事は言わない


でも


その笑顔に
惹かれていくんだ。




なのに



なのにね




あなたは離れていく。







「魅麗、今日は麻衣来るから
 勉強一緒にできない」


「…あぁ、そう。
 わかった。」




一緒に勉強できない日は
また家を出て行った。


幼かった私は
一人で勉強するなんて考えが
全くなかった。


迅に頼って生きていた。



それじゃダメだって事



誰よりも



自分が分かっているのに。



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