たった一つのプレゼント
「あれ、魅麗久しぶりじゃん」
「………………。」
いつも夜の仲間と溜まる場所で
宏輔(コウスケ)という男が
私に近寄ってきた。
前々からしつこかった。
肩に手をまわして
顔を近づけてくる。
「触らないで」
「相変わらず釣れねぇな」
なんだかどこも
居心地が悪かった。
やっぱり迅が良かった。
誰かじゃ埋まらない
私のぽっかり開いた心の穴
「魅麗帰んのかよ」
「なんか今日は
ここにいたくないの」
「俺から逃げんの?」
溜まっていた場所から
少し離れた裏道で
宏輔に腕を捕まれた
「痛い…」
「なぁ、俺から
逃げられると思ってんの?
今日は帰さないから……」
「ねぇ!!嫌だ!!離してよ…」