たった一つのプレゼント
私は階段を降りて
家に上がった迅と合流した。
「あれから何にも
物音がしないの…」
恐る恐るリビングへ入って行った。
「…おばさん……?」
「お母さん…?」
そこには誰の姿もなかった。
「おばさん…ずっと
家にいた?」
「多分…でも知らない」
「…………でもあの音…」
その瞬間
私達の目に衝撃的な物が映った。
それは
キッチンで倒れている
母親の姿だった。
手首から大量の血が流れ
辺りは食器や包丁
いろんな物が散乱していた。
「――――っ!!お母さんっ」
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「救急車呼ぶから…
魅麗は止血しとけ!!」
「う…うん……」
間もなく救急車が来ると
運ばれていく母親の姿を
ただただ見届けた。