たった一つのプレゼント
どんな母親でも
たった一人の
母親だから。
「………………。」
私は散乱した物を
一つ一つ片付け始めた。
ガラスの破片を拾う
その私の手を迅が握って
拾うのを止めさせた。
「ケガするから…」
そのまま私の隣で
黙々と拾いはじめた。
私はそれを黙って見ていた。
涙が
出てきた。
「あたしも…死にたいよ。」
「…………………」
「なんでこんな事になったの」
「…………………」
「迅、あたしは独りだよ」
「………俺がいるから…」
迅は破片を拾う手を止め
私を真剣な眼差しで見つめた。
「大丈夫っしょ。」