たった一つのプレゼント
止まらない
溢れる涙が。
悲しいからじゃない。
迅のその言葉が
嬉しかったから。
それはまだ
高校1年の出来事。
大人になれない
私の傍にいてくれたのは
大人より頼れた
迅だけだった。
その日から月日はたって
突然迅は私に言った。
「魅麗、一緒に
オーディション受けよう」
私は言い返す言葉をなくした。
あまりに急で
当たり前のような表情で言う迅に
なんだか
思わず笑った。
確かその日は
夏休み中、花火大会の日
迅の部屋の窓で花火を
二人で見ていた時だっけ。