たった一つのプレゼント
その日から
迅の部屋からギターと歌声が
よく聴こえるようになった。
ひそかに聴いていたんだ
心の闇が綺麗になっていく感じ
たまらなく
幸せを感じるの。
私は迅に勧められた
ベースを手にとった。
まさか
夢なんてなかった私が
何かに熱中するなんて。
全てそれは
迅が私のために作ってくれた道
すると私の部屋のドアを
ノックする音がした。
「魅麗」
「お母さん…」
リストカット事件から
退院した母親は
あの頃より少し
顔色を良くして戻ってきた。
「魅麗、ごめんね」
「え?」
「こんな母親で…ごめんね」