たった一つのプレゼント
「迅、緊張する…」
迎えた今日は
オーディションを受ける日。
事務所の前まで来て
ベースを背負う私は
隣の迅の袖を掴んだ。
真っ白な雪が降っている
高校1年生の私達は
夢への一歩を踏み出した。
有名な佐々木社長や
審査を担当する者の前で
私達は自分を表現した。
合格の場合
後日連絡すると言われ
私達はその場をあとにした。
少しぶらぶらと
二人で事務所近くの街を
食べ歩いていた。
すると迅の携帯が鳴った
「誰だ?これ」
「知らない番号なの?」
「………………もしもし」
迅は眉間にシワをよせ
面倒臭そうに電話に出た。