たった一つのプレゼント
すると一緒にいた迅が
私の手を引いて
歩く私を止めた。
「ん?」
少し驚いて
迅の方へ体を向けると
迅は自分のしていたマフラーを
私に巻き付けてくれた。
「ありがとう…」
まだ不機嫌なのか
何も返事をしなかった。
だけどその距離のまま
やっと彼は話し出した。
「和泉と仲いいっけ」
「は?」
いくら幼なじみでも
やっぱり好きな人だと
この近距離はドキドキする。
「いや…。なんでもない」
「和泉君?
別に…あの人誰とでも
平等に接する人だし…」
「そうだよな。」
寒いからか
ほっぺや鼻が真っ赤な迅
「どうしたの…?
今日不機嫌だし。」
「だからなんでもない」
「ふぅん……そう。」