たった一つのプレゼント


時々家に帰る。


母親のいるリビングへは行かず
2階にある自分の部屋へ行く


ベッドの上に縮こまって座り
ベッドのすぐ横にある窓を
開けて風にあたる。

そうすれば

やっと自分の居場所を
感じれるから。



それから




窓の向かいにある
隣の家の窓から
大好きな人が時々
話を聞いてくれるから。





「お前先生に目つけられてんぜ。
 俺にどうにかしろって
 言ってきてんだけど…」


「ふぅん、そうなんだ」


「どうにかしろよ」


「無理」




迅は私の全てを知っている。
だけど同情なんてしないんだ。

でもそんな迅がいるから
私は救われる。



「お前さぁ…ほんと
 夜だけは出歩くな」



たまにそうやって
心配してくれるから。


何度救われただろう


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