たった一つのプレゼント
ありがとう、かっちゃん
ありがとう、かなちゃん
ありがとう
迅
絶望からの夢の世界
生きてて良かった。
生きてみんなに会えて
本当に本当に……。
舞台から下りて
デビューライブが終わった。
控え室で
迅が一人背を向け
なにかをしていた。
「なにしてんの?、迅」
そんな迅の肩をおもいっきり
叩いて歩み寄ると
鋭く睨まれた。
だけど
迅の手元を見て
思わず笑った。
「それ、ピック…」
私があげた
最初で最後の
たった一つのプレゼント
そのピックは
デビュー前から
ネックレスとして
首にかけていたのを
知っている。
だけど今
ひもから外されたピックを見て
「今日使ってくれたの…?」