たった一つのプレゼント



「やっぱり…無計画すぎる」




結局

私の一人暮らし宣言は
あっさり消え去っていった。




デビューから数ヶ月




すこし肌寒い季節になった。





一人暮らしをするという考えは
あの頃よりは薄れてきていたが
やっぱりずっとこの家に
居座る事に申し訳なさを感じた。




そんな久しぶりの休日

迅のベッドで雑誌を読んでいると
迅はいきなり


「出かけるぞ」



と言って
私を外へ連れ出した。





「なになになに!?」


「…………………」




私の手を引っ張り
足早に歩く迅に
いくら問い掛けても

手を離したり
振り向いたりもせず

なんとなく電車に乗せられ



とあるマンションの前で
ふと足を止めた。



「………迅?」




迅は手を離し
私の方をやっと向いた。





「一緒に住もう」







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