たった一つのプレゼント
車は走り出していて
どこへ向かうのか。
「なんで急に…」
「んー、…気分」
「…………気分って。」
隣を見ると
笑顔の淳平君がいた。
「…………どこ行くの?」
「ベタに海でも」
「海?…寒いよ。
あたし上着忘れた」
「俺の貸すから」
あらかじめ準備してあったかのように
上着を渡された。
冬の海なんて
初めてだった。
着くまでの時間
日頃の疲れで寝てしまっていた。
夢をみた。
私の頬を大きくて温かい手が
優しく包んでくれる。
その瞳はあまりに綺麗で
優しくて優しくて
大好きな人
迅の温もりに包まれて―――――