たった一つのプレゼント
「物心ついた時から
迅しか見てなかったよ。
迅に彼女ができても
迅が遠くに感じても
ずっとずっと
迅しか見えてなかった。
それでも迅があたしを
突き放したいなら
あたしは離れるし。
だけど、あたしは…
ずっと迅と一緒にいたい。
きょうだいとかじゃなくて、
迅を一人の男の人として
ずっとずっと好きだったから。」
溜めていた涙は
次々と溢れだし
目の前の迅は
やっぱり今まで気付かなかったのか
目を見開いて言葉を失っていた。
「あたし…っ……
迅の迷惑になりたくないから…
家でてくからっ……」
その場を離れようと
迅に背中を向け歩こうとした。
そのとき
ふわりと後ろから
優しくなにかに
包まれた。