僕等の軌跡 2

帰りは0時近くで、それぞれ最寄り駅で別れていった。
なんだかモヤモヤして嫌だった私は、少し遠回りして帰った。

どうして私はこの時に限って、いつもの道で帰らなかったんだろう。
いつもどおりの道で帰ってれば…今でも後悔がやまない。

少し前の道で、男が5,6人たまってた。
"あ…やだな"そう思ったけど、無視すればいいと思った。

「ねっ彼女♪浴衣姿、可愛いね!」

一人の男がからんできた。

「…。」
「お前無視されてんぞー。笑」

なんで話しかけてくるの?
うるさい。やだ…ほっといてよ。
早くどっかいってよ。

「ねぇってば!」

思い切り腕をつかまれて…。

「痛っ…。」

嫌な…予感がした。
だけどもう遅かった。
唇に何かが触れて、目の前には男の顔。

頭の中が真っ白になって、少ししてやっと理解できた。
私はその男にキスされたんだって。
他の男達がはやしたてる。
うるさい…やめてよ。

「君が無視なんてするからだよ。ほら、せっかくだし…。」

途中で男の言葉が途切れた。
私は…男を殴っていた。
男達はびっくりしていた。
でも、自分自身が1番びっくりした。
だけど今がチャンスだと思って、私は必死に逃げ出した。

力が抜けて座りこんだ。
男を殴った手を見た。
震えが止まらなくて…。

「あ…。はは…。」

笑うしかなかった。

キスは初めてじゃない。
だけど…。
先生がいるのに、他の男にキスされた。
この手で人を本気で殴っちゃった。

わけが分からなくなって、頭の中がぐちゃぐちゃになった。
不安,悲しみ,怒り。
色んな感情が、一気に頭の中を駆け巡った。

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