僕等の軌跡 2
少し返事をためらった。
まだ…心に迷いがあるみたい。
いたんだね。まともな私も。
「「条件がある。最後の日、俺と楽しく過ごそう。そして俺の前で死んで。守りきれなかった人として。」」
一瞬理解ができなかった。
守りきれなかった人として、先生の前で死ぬ?
「「どうしてそんな事しなきゃいけないんですか!?私は…先生に忘れてほしくて…。守りきれなかった人?…じゃあ別れる。先生とは別れます。そしたらもう関係ないですよね?」」
先生はいつだって、私を守ってきてくれたよ。
もう頑張らなくていいの。
これからは自分の為に、何かを頑張って。
私の事を忘れて、幸せに生きて。
忘れられないというのなら、嫌いになって。
「「全てを捨てる意味が分かってない!!」」
先生の口調がきつくなった。
「「先生はどうして、そんなに私を生かそうってしてくれるんですか!?先生の夢は…何?私とずっといる事じゃないよ。法律じゃないですか!私なんかに構ってちゃいけません。」」
そう…先生の夢は法律だよ。
今こうして、私なんかに構ってちゃ駄目。
もしいつか、誰かとずっと一緒にいる事が、先生の夢にできたとしても…先生なら大丈夫。
きっともっと、理想に近い女の人と出会えるよ。
「「仕事も大学院もちゃんとする。でも今の僕にとって…美佳ちゃんは同じくらい大切なんです。自分の為。未来の君為…君の命は絶対まもる。」」
涙がでてきた。
嬉しかった…。
その気持ちだけで、もう充分。
だけど、守っちゃいけない。
私の事…守っちゃいけない。
私はこの先きっと、先生の重荷でしかない。
「「私が…先生を幸せにしたかった。今を…最後の恋にしたかった…。でも、私じゃあ…無理みたいですっ。笑」」
私にとっては、この恋が最後の恋です。
でも、先生にとってこの恋は最後の恋じゃない。
私きっと、先生に幸せあげれない。
だから…他の人と…。
「「じゃあ幸せにしてくれよ!凄いのじゃなくていい…。平凡な幸せでいいから!」」
「「ごめんなさい。」」