僕等の軌跡 2

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「…こんななんだけど。なんか、ちょっと大きくない?」

先生はくるっとまわって見せた。

「え、いけますよ!大丈夫ですって。」
「制服とか久しぶり。まぁ…いいか、行こう!」
「はいっ。」

先生が今着ているのは、私がお兄ちゃんや友達から借りてきた、私の通ってる高校の制服。

どうしてかっていうと、はたから見ればただの"コスプレ"かもしれないけど、"制服デート"する為。

先生がずっと、したいって言ってた事とか…行きたいって言ってたとこ、必死に思い出してた。
いっぱいありすぎて迷ったけど、今私じゃなきゃしてあげれない事を考えてみた。
そして決まったのが、この"制服デート"だった。

ずっと、もし同級生とかで出会ってたら、私はきっと先生を好きにならなかったって先生に言われてた。
でも先生…私今、すごくドキドキしてるよ?

きっと私、先生が"先生"じゃなくても好きになってた。
きっと先生以上に好きになれる人なんていないの。

ごめんね?先生。
私が先生を好きになっちゃったから、こんなしんどい思いする事になっちゃった。

「…でさぁ!美佳ちゃんー…。」
「え?」
<ガンッ>
「痛いーっ。」

先生の話しを聞こうとして先生を見た時、自分の前に大きな柱があるのに気づかず…私は思い切りぶつかった。

「もー。先生が急に…。」

急に話しかけるから…。

「ぷ。ははは!え?まじ!?はは!」
「…っ。ははは!!」

初めて…先生が、こんなに笑うのを見た気がする。

今日は高校生デートをしようって事で、まず初めに行ったのがカラオケ。
先生がいつも私に歌ってっていう、"気まぐれロマンティック"。

私の想い…届いていますか?
私の歌声…聞こえていますか?

先生とだったから笑えた。
先生がいたから、私の運命はあの時終わらずに…今日まできた。
本当、気まぐれなテンションで沢山振り回しちゃったよね。
…だけど、もうこの手は…離していいから。先生。

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