僕等の軌跡 2
私は沢山先生に答えを求めた。
でも沢山先生の答えはあくまで"沢山先生"なんだ。
"私"じゃないんだ。
本当の答えは"私"なんだ。
そしてそれは私にしか見つけられない。
私は"中川先生"じゃない"私"の答えを、中川先生の答えにしてたんだ…。
「分かったか?そういう事なんだよ…。」
「…。」
「ま、また困ったらいつでも来い。専門知識とかないから、聞くだけのカウンセリングみたいになるけどな…!」
うん…沢山先生ありがと。
私、なんとなくだけど分かった気がします。
人の気持ちは分かろうとしちゃいけないんじゃない。
分かれないんだ。
でもそれは仕方ないんじゃなくて、そういうもの。
やっとあの頃の私がかえってきた。
"分からない未来より今を大切にしたい"
先生…私、先生との未来なんて望みません。
今はただ、先生との今を望みます。
だから先生…?
どうか見守っていてもらえませんか?
私に頑張らせてみて下さい。
きっとその頑張りの方法は、先生の納得できない方法になるでしょう。
下手すれば、私は私でなくなってしまうのでしょう。
もしかしてその私すら、存在しなくなってしまうのかもしれません。
だけど約束します。
絶対無茶はしないと…。
先生を悲しませないと。
なのでどうか信じてみて下さい。
私が生きると信じてくれたように…。
私も自分を信じてみますから。
**
<ピーンポーン>
「んー…?はい。」
「あ、先生。こんにちは。」
「美佳ちゃん。どうぞ…っ。」
先生さっきまで寝てたんだろなぁ。
寝癖ついてるうえに、目がはれてるよっ笑。
「で?今日はまたどうした。」
いきなり聞かれると思ってなくて、私は慌てていつもの癖で笑顔で首を傾げる。
「いや…。笑顔で首傾げられても。」
「ごっ、ごめんなさい!」
落ち着け、私。
今日はちゃんと用事があって、来たんだから。
「えっと。これ、お弁当を…先生に…作ってみて…。」
ほんの一瞬でもいい。
先生の喜ぶ顔が見たかった。
私なりに、小さな事から"幸せ"を探していこうと思った。
でも…ちょっとお弁当ははずれちゃったかなぁ…。
「ごめんなさい。やっぱりこんなの…。」