僕等の軌跡 2
私は思い切り、谷先生を睨んだ。
そして教室を飛び出した。
「相原さん?」
私に気づいて、声をかけてくれた中川先生。
だけど振り返る余裕もなかった。
塾を出た瞬間泣き崩れた。
分かってた。
いつかこういう意見の人と出会う事。
だけどいざというと、怖くて…どうしたらいいかわからなくて。
ここまで否定されるって思ってなかった。
自分でもなってないって思う。
でも…クズじゃない。
私も先生も、まだまだ未熟かもしれない。
こんなの駄目かもしれない。
だけどこれから成長していくんじゃないの?
何が普通なの?
何が論外じゃないの?
そんなのただの人それぞれの価値観で決めてるだけでしょ?
"世間"から見たら、そりゃ谷先生の意見のが多いよ。
でもだからって、それが正解とは決まらないじゃんか。
いきなりの出来事。
厳しい現実。
決して避けられない道。
思い出すと怖くて、中川先生には言えなかった。
多分この事知ったら、先生…仕事しづらいって思った。
だけど隠してるのも後ろめたくて、1人で抱えるのもしんどくて…。
「「やぁ。」」
久しぶりにとった、中川先生との連絡。
「「どうしたんですか?」」
「「僕らの事…ばれたよ。松木先生に。時間の問題で、きっと校長にもまわる。」」
色々と頭の中をめぐった。
松木先生?校長?嘘でしょ?
まさか谷先生が…?
理解するのに時間がかかった。
そんなの…先生どうなっちゃうの?
とりあえず私なりに、一生懸命考えてみた。
「「今なら…まだ引き返せます。もう起こってしまった事実は変えられないけど…これからなら変えられる。そしたらきっと、まだ罰軽くなります。」」
これが今の私にできる最善。
先生を助ける為にできる事。