空界と悪魔と契約者と
非日常の始まり
1、すべての始まり
雨が降っていた。傘をさす人々がある場所に集まっていた。その場所は、一般人の日常とは、大きく離れて非日常をかもし出していた。
遠くでサイレンが聞こえる。
一般人の目には真っ赤に地面が染まり、壁に車がぶつかり、その隣で泣いている少女がいて、その中心で倒れている高校生ぐらいの少年に視線が注がれていた。
どうみても助からないのは、わかっていた。血はかなりの量がでているし、倒れている少年は息をしている様子もない。
しかし、誰も少年に触って生死を確かめない、けれど誰もそれを責めたりはしない。
仮にあなたならどうしているだろう?目の前には血を流してピクリとも動かない人がいれば、あなたはその人に駆け寄りなんとかしよう。と思うだろうか?違うだろう。もし下手に動かしたりして、逆効果だったり、それで死んでしまうと考えるだろう。
サイレンの音が聞こえているのは、なにもできない人や、その状況に直面したらまず救急車を呼ぶと教えられた人が、救急車を読んだためだろう。
それが普通である。なにも間違えてはいない。
ただ、その少年には意識があった。息は浅くしているため、見ている人にはわからないだろう。
少年は思った。
(やっぱり、自分が人を死なせてしまうという責任のせいで誰も来ないか・・)
少年はこの状況でも冷静だった。
人は困った人がいれば助ける。そうじゃない人もいれば、そういう人もいる。だが人は助ける、助けないに関わらず自分に責任がかかる状況ならば、誰も助けない。
(偽善者ばっかりだ・・)
そこで少年の意識は途絶えた。また命が一つ失われた。
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