【短編集】Love Sick
ぷつり。
急に、いつもなかなか繋がらない彼と電話が繋がった。
「もしもーし」
「青柳さん、ですか?」
「ですか?って、ははは。お前俺にかけてきてんだろ?現役女子高校生はこんな馬鹿なのか」
「……すみません」
「謝る必要なくね?つか、何の用」
何の用って、お前、ふざけんな。
お前が毎日この時間帯に電話を掛けてこなきゃ殺すと私を脅してきているのだろう。
嫌なら掛けなきゃいいのではないかと自分でも思うのだが、そういうわけにはいかない。
彼なら殺しかねない。彼女である、私のことも。だって、そういう人だからだ。
「いえ、別に、その」
「んだよ、なら掛けてくんなよ」
「すみません」
それから私は黙り込んだ。もう気力もないというか、何と言うか。
いつもこんな感じなのだが、彼は私が黙っても電話は切らない。ああ、何なんだ一体。
「あー、えっと、じゃあ、切ります」
「あー、おう」
「じゃあ、お体に気をつけて」
「お前も変な男とちちくり合ってたら殺すぞ」
「……そんなことしませんよ」
つかそれお前だろ。
そう思いながらぷつりと電話を切った。そのまま私には広すぎるベッドにばたりと倒れ込んだ。