魔道師と暗殺者

 それからしばらくして、担任の先生と一緒に、見知らぬ男が二人、自分の病室に入ってくる。


 彼らは自らを警察官だと名乗り、悠人が誘拐された様子を詳しく聞かせて欲しいと聞いていた。


 もちろん、自分の素性や先咲さんのことまで話すコトはできない。


 由良は適度なウソを着きながら、あのときのことを出来る限り明確に説明した。


 最後に、警察は・・・。


「こういうことは事前に私たちに連絡さえくれれば、こんな結果にはならなかったのに・・・。」


 と、心底溜息をついた。


 ならなかった・・・?


 勝手に過去形にするんじゃねぇよ。


 まだ、終わっちゃいない。


 終わらせてたまるか。


「それじゃあ、後は警察に任せて、君は静養するんだ。大丈夫、君の友達は私たち警察が必ず助けて見せるから・・・。」


 等と見知らぬ大人は口にしていたが、由良は絶対無理だと思った。


 魔道師は自分たちアサシン以上に情報隠蔽能力に優れている。


 国の税金で、マニュアルどおりの捜査しか出来ない警察なんかには、手がかりの一つも見つけることは不可能だろう。


 そして、由良の予想通り、警察はわずか二週間で捜査を打ち切り、一連の事件はお蔵入りしてしまう。


 ・・・・・・・・何が、任せろだ、役立たず!


 病院から抜け出した由良は、自らの足で独自の捜査を進める。


 彼らを助けるために・・・。


 一人でかっこつけた、馬鹿を殴るために・・・。


< 102 / 163 >

この作品をシェア

pagetop