魔道師と暗殺者
それからしばらくして、担任の先生と一緒に、見知らぬ男が二人、自分の病室に入ってくる。
彼らは自らを警察官だと名乗り、悠人が誘拐された様子を詳しく聞かせて欲しいと聞いていた。
もちろん、自分の素性や先咲さんのことまで話すコトはできない。
由良は適度なウソを着きながら、あのときのことを出来る限り明確に説明した。
最後に、警察は・・・。
「こういうことは事前に私たちに連絡さえくれれば、こんな結果にはならなかったのに・・・。」
と、心底溜息をついた。
ならなかった・・・?
勝手に過去形にするんじゃねぇよ。
まだ、終わっちゃいない。
終わらせてたまるか。
「それじゃあ、後は警察に任せて、君は静養するんだ。大丈夫、君の友達は私たち警察が必ず助けて見せるから・・・。」
等と見知らぬ大人は口にしていたが、由良は絶対無理だと思った。
魔道師は自分たちアサシン以上に情報隠蔽能力に優れている。
国の税金で、マニュアルどおりの捜査しか出来ない警察なんかには、手がかりの一つも見つけることは不可能だろう。
そして、由良の予想通り、警察はわずか二週間で捜査を打ち切り、一連の事件はお蔵入りしてしまう。
・・・・・・・・何が、任せろだ、役立たず!
病院から抜け出した由良は、自らの足で独自の捜査を進める。
彼らを助けるために・・・。
一人でかっこつけた、馬鹿を殴るために・・・。