魔道師と暗殺者

「十分だろう?このローブを着るだけで、老けることなく、病になることなく、決して人に殺される心配はないし、傷だって無限に回復する。まさに、人類の夢だよ。」


 ああ、さぞかしそれだけのうたい文句があれば、ブラックマーケットで高く売れるだろうな・・・。


 もちろん、コレを着こなせる人物がいるとは思えないが・・・。


「違うな・・・こんなもの、不老不死ではない。」


 無数の血を吸い、無数の魂を封じ込められた不老不死のローブ。


 このローブは、着ている者の老い、病、傷、死・・・全てを請け負う。


 着ている者が不老不死なのではない。


 ローブが不老不死なのだ。


 しかし・・・・魂や霊体というものに敏感に出来ている魔術師以外の者が着れば、このローブ・・・いや、このローブに封じ込められた無数の魂たちの怨恨によって、即自我を失ってしまうだろう・・・。


 まさに、不老不死の呪い・・・。


「十分だ。私は、この極東の地で、誰の力も借りず、誰からの援助も得ず四大魔法の一つを大成した・・・どうだ?そろそろ、諦めて私と手を組まないか?いい加減、喉が渇いただろう?食事だってあるぞ。」


 冗談じゃない。


 こんな下法、魔術ですらない。


 こんなことをする人間を魔術師と認めてなるものか。


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