魔道師と暗殺者
「ヤツをしとめろ!」
誰かが叫ぶ。
その手にはロケットランチャーが握られている。
このビルごと吹き飛ばすつもりか?
正気の沙汰とは思えなかった。
しかし、由良には関係ない。
いったん、階段のロビーまで後退。
そして、跳躍。
一気に、相手との距離を詰める。
「なっ!」
男の驚いた声が上がる。
ロケットランチャーというのは、失敗だったな。
破壊力がある代わりに、小回りに欠ける。
室内戦闘においては、圧倒的に不利な武器だ。
由良は、一瞬にして、ロケットランチャーを構えている男の背後に回ると、ポケットから小型拳銃を取り出し、姿を確認することなく後ろ向きに発砲。
「ぐっ!」
発砲音と同時に男たちの悲痛な声が漏れる。
そこから推測するに、被弾しただろうが、確かめる間もなく、由良はその場を後にする。
目指すは、最上階。
あの時、先咲さんを見つけたあの部屋だ。