魔道師と暗殺者
そこにたどり着くまで、由良の足は止まることはない。
その動きは、まさに疾風。
いや、暴風と言うべきだった。
彼の去った後には何も残らない。
あるものは逃げ去り、あるものは、気を失った。
もしかしたら、死人が出てしまったかもしれないが、由良には構わなかった。
どちらにしろ、悠人か先咲さんのどちらかが死んでいたら、ここにいる全員、生かして帰すつもりなんてなかったのだから・・・・・。
「止まれ、盗賊。」
残り一階、最後に現れた男たちが持っていたのは散弾銃だった。
確かに、この場では有効な武器。
どこから、そんなに豊富な武器を手に入れたのか、気にするつもりは毛頭ない。
「そんな玩具で!」
俺を止められると思うな!
跳躍。
それと同時に発砲される散弾銃。
狭い階段の踊り場に銃弾の荒らしが巻き起こる。
胸に当たった弾丸は、防弾チョッキがふせぐ。
しかし、手と足に一発ずつ。
鮮血があふれ、由良の手と足を真っ赤に染める。
だが、そんなもの・・・。
着地と同時に発砲。
着弾。
鮮血と一緒に倒れる男たちに興味はない。
・・・・・・・着いた。
目の前に広がるのは最上階。
一気に、駆け抜ける。
ここまできたら、構える男たちなんぞ、毎日撃ちぬいている写真より容易い。