魔道師と暗殺者
「どけぇええええ!」
由良は銃弾を避けつつトンファーを振り回す。
鈍器というのは、この場においては、もっとも優秀な武器。
殴るという単純作業に特化した武器は、刃こぼれもなければ、弾丸切れもない。
あとは、自分の体力次第だが、こんな場所で息切れなどするものか。
廊下を駆け抜け、三番目の部屋。
先咲さんを見つけた窓がある部屋。
鍵が壊れるぐらい力いっぱい蹴り破る。
そこに広がっていたのは、真っ暗で蝋燭だけが光源の薄暗い部屋。
床には魔方陣が描かれていたが、そんなもの由良の目には入らない。
彼の目に入ったのは、黒フードに包まれたあのときの男。
あの時同様、いやらしい笑みを浮かべている。
前口上など語らせない。
悠人の捉えられている場所も予想ができているのだ。
由良は、拳銃を構えると素早く男に向けて発砲。
残り全弾5発。
全弾命中。
男は言葉もなく鮮血を流して倒れこんだ。
あっけないが・・・悪党の最後なんてこんなもの。
余韻なんて邪魔なだけだ。