魔道師と暗殺者
「これじゃあ、先咲さんに顔向けできないな・・・。」
だけど、背に腹は変えられない。
悠人はかさぶたができ、薄皮が張られてきている銃創に歯を突き立てる。
とたんにそこから流れ出る鮮血。
・・・・良かった。まだ、血は枯れていなかったようだ。
ならば、取れる手段は決まっている。
あいつは、確かに魔道師以外の人間からしてみたら、不老不死だ。
どれだけ突き刺そうが、銃弾を打ち込もうが、切り刻もうが、死ぬことはない。
まさに化け物。
アイツを倒せるのは、ローマ教団の人間。もしくは同じ魔道師だけだ。
・・・・・だとしたら、自分しかいない。
悠人は静かに目をつぶり、覚悟を決める。
戦うのが怖くて極東へ逃げた。
みんなが戦っているのに、自分だって魔道師だというのに、他の魔道師が怖くて、こんな辺境の地まで逃げた。
そこで日々怯えながら、魔法を学んで、それでもこの地から動かずにいた。
・・・・・ツケが溜まって、あふれ出たのだ。
ならば、払わなければならない。
命を賭けて守ると決めた女性がいる。
今まで磨いた腕がある。
披露するとしたら、この時をおいて他にはない。
あふれ出す鮮血を人差し指に溜めて悠人は地面に模様を描いていく。
それは、若き魔道師が命を賭けて描く、赤いアカイ魔方陣・・・・・・・・・。