魔道師と暗殺者

「仕方ないよな・・・。」


 魔方陣の中央。


 息も絶え絶えに、悠人はつぶやいた。


 もちろん、ここには都合の良い生贄になりそうな人物もいなければ、ネズミもネコもいるわけではない。


 ならば、使える命はたった一つ。


 最高級で、この上ない至上の魂だ。


 文句なんかあるまい。


 悠人は、震える足を必死に押さえつけ、魔方陣の中央に立ち、見えないはずの空を仰いだ。


 ふと、姉貴の言葉が頭をよぎる。


 ・・・・・・『関係ないですって?家族でしょ!』


 家族家族ってうるせぇよ。たまたま、同じ血を引いただけの他人同士の集まりじゃないか・・・。




 だけど・・・・・・・



 ・・・・・・・・それでも




 ・・・・・・・・・・・昔、家族全員で食べたバースデーケーキはとても美味しかったと思うから・・・・。



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