魔道師と暗殺者

「朝倉くん・・・ごめんなさい・・・私・・・。」


 時々、先咲さんが正気に戻るのが、やるせなかった。


「気にするな・・・こんなの痛くもないよ。」


 必死に笑顔を振りまく。


 当然だ。こんなことで痛がっていたら、アサシンが勤まるはずがない。


 コレぐらい、かすり傷だ。


 ・・・・・・・・とは言え。


「健気だな・・・だが、そろそろ飽きてきた。ミコト、そろそろ止めを刺せ。もちろん、即死はさせるなよ。」


 ・・・・・・・・万事休す。


 全てが終わった気がした。


 振り上げられる、先咲さんのナイフ。


 コレが振り下ろされ、自分の短い人生は幕を閉じる・・・・・・・ハズだった・・・。


 しかし・・・事態は常に変化する。


< 144 / 163 >

この作品をシェア

pagetop