魔道師と暗殺者
そして・・・・・・
~悠人~



「はぁ・・・はぁ・・・」


 息も絶え絶えに、悠人はビルの廊下を歩く。


 なぜか、手下は誰もいない。


 いや・・・中には何人かいるが、みんな気絶しているか、怪我を負って倒れているかのどっちかだ。


 悠人は、何とか生きていた。


 魔法が不完全だったのか、それとも今来ている不老不死のローブのおかげなのか、分からない。


 どちらにしても、このフードを脱いでしまえば、自分はおそらく、衰弱死するだろう。


 だから、まだできない。


 まだ、終わっていない。


 なんとしてでも、美琴を助けなくてはならない。


 地下牢の鍵は、魔法でこじ開けた。


 そのために、今まで髪の毛に溜め込んでいた魔力の大半を使い果たした。


 色落ちすることはないが、それでも魔力を失った髪の毛を、他の魔道師が拾えば、自分の素性が全てバレてしまうだろう。


 構わない。


 どの道、自分の命はもうもたない。


 ならば、その前に、なんとしてでも美琴だけでも助けなければいけない。


「ん?」


 ふと、悠人の目の前にこちらに向かって歩く人影を見かけて、足を止めた。


 視界が歪んで、よく見えないが、間違いない。


 アイツは、あのときのニンジャだ・・・。


 どうして、ここにいるのかまでは分からない。


 だけど、今はそれを考えている暇はない。


 どういうわけが分からないが、アイツが抱えているもの。それは間違いなく美琴だ。


 ならば、助けなければ・・・。


 悠人は必死に足を進めた。


 倒すべき敵に向かって・・・。



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