魔道師と暗殺者

 本来、ただの人形でしかない美琴の治療は現代医学でできるものではない。


 傷ついた心臓を修復し、壊れた身体を再構築する。


 一人で出来る作業じゃなかった・・・。


 驚いたコトに、その作業に手伝ってくれたのは、自分の姉だった


 伊達に魔術師の家系に生まれてはいない。


 多少なりとも、魔術の心得がある彼女の手助けがあることはありがたかった。


 不眠不休で呪文を唱えること一週間。


 美琴が目を覚ましたのは、ソレからだった。


 ・・・・『どうして、起こしたの?』


 彼女の第一声。


 ・・・・・・・・『君を守ると決めたから・・・。』


 悠人の第一声。


 それからしばらく無言の間が流れ、彼女はしばらくして涙を流した。


 『ごめん』


 なぜ、あやまったのか自分でも良く分からない。


 だけど、悪いコトをしたとは、これっぽちも思わなかった。


 それから、彼女と長い間会話をして、彼女に帰る場所がないコトを知る。


 当然といえば当然だった。


 彼女のマスターは自分が殺してしまったのだ。


 さて、困った・・・と思ったところで口を挟んだのは、またしても姉だった


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