魔道師と暗殺者
ソレこそが、悠人から見た先咲美琴の印象だった。
当然話しかけたことなど一度もない。
ソレが、こんな形で話しかけるコトになるとは・・・。
心から悔やんでみるが、今さら結果は覆らない。
いや、覆すこともできないコトはないが、この状況でやれという方が無理だ。
そして、部活が終わる時間を待ち、校門から出る先咲美琴を待って、「好きです」と一言。
結果として言われたのが、先ほどの質問だった。
自分で自分の顔を見ることはできないが、おそらく今の自分はとても、スットンキョンな顔をしていることだろう。
「あ・・・あの、言っている意味が分からないのだけど?」
そもそも、魔法使いって何だ?
魔法使いならOKなのか?
だったら、この場でウソでもそうだよって言えば、良いだけの話なのでは?
「分からないなら良いわ。ごめんなさい。」
一呼吸おいて、彼女は自分の質問に返事を返すことなく、アッサリと自分を横切ってスタスタと去っていってしまった。
高すぎない鼻をつんと伸ばして、長い髪をなびかせて去っていく彼女の姿はあまりに当然というか・・・つまらないコトに時間を費やしたと言った感じで・・・。
あれ?・・・もしかして、今のってただの断り文句ってやつ?
気がついたのは、彼女が立ち去ってから軽く一分近くの時間がたってからだった。