魔道師と暗殺者
1節
食卓に行くと、珍しく父親がいた。
『出張』から帰ってきたのだろう。
今日の最後の的を用意した張本人・・・。
正直、憎い・・・。
「いただきます。」
朝倉家の朝食はいつも静かだ。
兄が死んでからもう3年。
さすがに息も詰まるところまで詰まった。
テレビのニュースだけが、この街の近くで連続殺人が起こっていることを、必死に訴えかけているが、誰もそれに関心を持とうとしない。
「由良・・・いつになったら高校を辞めるんだ?」
不意に父親が声を上げた。
「またかよ・・。」
思わず、声に出る。
「『また』ではない。オマエには学校など必要ないと言ったはずだ。」
「そのための、あの的か?でもなぁ、俺はもう嫌なんだよ!!自分の生き方ぐらい、自分で決めされろ!!」
「それができる立場だと思っているのか?」
「当たり前だ!!」
「大馬鹿者!!義則がなぜ死んだか、考えてみろ!!」
義則とは、死んだ兄の名前・・・。
死因は銃殺・・・なぜ、殺されたのかは・・・・・・・。