魔道師と暗殺者
2節
「おはよう、由良。」
朝、自分の席に腰掛けると、隣の席の真琴が声をかけてくる。
茶色に染め上げた髪を肩まで伸ばし、大きな瞳をクリクリしている。
薄いピンクのふちのメガネとあいまって、とても可愛らしい顔をした女生徒だった。
今朝のことが脳裏に浮かぶ。
「おぅ、おはよう真琴。今日の英語の宿題やってきたか?」
「え?宿題・・・さて・・・なんのことかなぁ?」
・・・真琴・・・お前もか・・・
「仕方ない・・・お~い、悠人。」
席を離れて、友人のもとに向かう。
彼の名前は桜沢悠人。
高い鼻に、彫りの深い顔はどこか日本人離れしている印象を受けるが、名前を聞く限り生粋の日本人。
小学校の五年生のときにこっちに転校してきてから、かれこれ5年来の友人だ。
「ヤダ。」
「まだ、何も言ってない。」
「ヤダ。」
「日本語を話そう、悠人君。」
「宿題は自分の力でやろう、朝倉君。」
「うッ・・・そこを何とか頼みます。悠人様。」
「500円」
そう来るか・・・・。