魔道師と暗殺者

「引き受けてもらわないと、困るのですよ。・・・いったい、今まで彼女に私の部下が何人やられたと思っているのですか?」


 ・・・・・・・・?


「どういうことだ?」


 意味が分からなかった。


 どうして、彼女にお前たち、裏社会の人間がやられると言うのだ?


「そのままの意味です。中々、彼女にはてこずっておりまして・・・。それでもあなたと同じフリー業者だったら、金で解決するという手段もあるのですが、残念なコトに、彼女は既にどこかの組織専属らしくて・・・簡単に手が出せないのですよ。」


 フリー?


 専属?


「・・・・・・・・もしかして・・・?」


 信じられなかった。


 フリーとは自分のように、どこの組織にも所属せず、仕事を行う者のことだろう。


 そして、専属とは・・・?


 いや、それ以前にその単語を使うってことは・・・・・・・・。


「あなたほどの人が、ご一緒に生活していて気が付かなかったのですか?」


 黒ずくめの男は、溜息をつくと由良に一歩近寄り、信じられない言葉を口にする。



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