魔道師と暗殺者

「残念だったな!悠人!」


 しばらく呆然と、彼女が去った後を眺めていると、突然肩を抱かれる感触があり、それでようやく、現実に戻される。


「あ、由良。」


 自分の肩を抱いてきたのは、同じクラスの朝倉由良。


 小学校からの腐れ縁で、何かと行動を一緒にしてきたやつだ。


 当然、先ほどの悪友五人組の一人。


 清端な顔立ちに、自分の目にかかりそうなぐらいに伸ばしている髪の毛。


 まるで自分の顔を隠してようにメガネをかけているが、ソレが逆にクラスの女子の人気を集めているコトを自分は知っている。


 何より、こいつは肩を抱かれて見ると分かるのだが、思いのほか筋肉質なのだ。


 おそらく、脱いだらすごい・・・・・。


 ・・・・・・見たくはないけど・・・・。


「なに、呆然としているんだよ?まさか、お前だってうまく行くとは思ってなかったんだろう?」


 え?・・・あ。そうだ。俺、今失恋したんだ。


「え、あぁ・・・もちろん・・・。」


「なんだ、悠人、フラれたの?」


「当たり前だろう?先咲さんだぞ。天下の花だよ。天下の花。」


「ソレを言うなら、高嶺の花じゃないのか?」


 由良に続いて、悪友たちが集まってくる。


 あれ?そういえば、由良たちが待機しているのはここから数百メートル離れた場所だったはず。


 何で、由良は俺がふられたコトが聞こえたんだ?


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