魔道師と暗殺者
“あなたは、あなたの愛する人を殺せるのかしら?”
シャーリーの質問。
核心をついた言葉。
考えたくないが、彼女を使うということは、ソレすらも視野に入れているということ。
「・・・人の心をつくのがうまいな?」
“魔族だからね”
「下級の癖して・・・。」
“上級魔族を使えるほどの腕もないくせに・・・”
「うるせぇよ。」
“それで、あなたの答えは?”
結局、こいつ相手に話を誤魔化すことはできないか。
悠人は、大きく息を吸って息を整える。
「“逃げる”という選択肢だってあるだろう?」
正直、戦いたくはない。
逃げられるものなら、どこまでも逃げたい。
ロンドンから極東の島国へ逃げたように・・・。
魔術師の争いから、尻尾を巻いて魔術師がいない霊術の国へ逃げ込んだように・・・。
“あなたらしい考え方ね。でも、できるかしら?”
「・・・だよな・・・。」