魔道師と暗殺者

 なるほど、ソレはわかりやすい。


 それで、迷いは吹っ切れた。


 こいつが何者かは分からない。


 だけど、こいつが黒幕につながっていることは確かだ。


 由良の頭に今日の保健室の光景が頭をよぎる。


 優しい雰囲気。


 笑う、悠人と先咲さん。


 ソレを守るためなら、ためらうものか!


 由良は、ポケットから拳銃とサイレンサーを取り付け、発砲する。


 ・・・・・・が


「・・・俺が、ハズすだと?」


 全弾、はずれ。


 狙いは正確なはずだ。


 確かに、ハンドガンの射程はライフルと比べて短いとはいえ、この距離なら問題ない。


「弾除けの守護ぐらいしてあるさ・・・ド素人が・・・。」


 魔法使いが不適に笑ったのがムカついた。


「撃ち殺すのがダメなら、刺し殺すまでだ!」


 由良は、静かに先咲さんの家から着地すると、まっすぐと魔道師に向かって突進して行った。


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