魔道師と暗殺者
5節
悠人は焦っていた。
いきなりの発砲。
迷いがない。
相手は人を殺すコトにためらいがない。
でも・・・だから、確信する。
こいつは・・・先咲さんを殺すこともなんなくやってのけるだろう・・・と。
許さない。
そんなことは、絶対に許さない。
・・・・『私を、守って』
先咲さんの言葉が頭をよぎる。
彼女を救えるのは、自分しかいない。
だったら、負けるものか。
こんな下っ端に負けてなるものか・・・。
実力差は知恵と魔術で埋めて見せる!
悠人は、フードの下に隠し持っていた魔剣を取り出す。
必殺の呪いがかけられた魔剣。
悠人の全神経を集中させて作った、最悪の武器。
刃渡り70センチほどある西洋式の両刃剣。
悠人が前世で使用した剣に非常に似ている剣だ。
悠人は、魔術師ゆえに前世の記憶を持っている。
彼の前世は傭兵だった。
しかし、国一番の剣の使い手であり、王家にすら一度謁見を許されたぐらいである。
その記憶が、剣術を覚えている。
それに魔剣の呪いと、薬で鋭くした五感を使い、相手をしとめる。