魔道師と暗殺者
悠人は剣を下から一気に相手のわき腹めがけて振り上げる。
すぐに、人間離れした身体能力を駆使して飛び惹くアサシン。
だが・・・距離が足りなかった。
飛び散る鮮血。
致命傷には程遠い
だが・・・。
「勝った・・・。」
相手の血液を手に入れるということは、魔道師にしてみれば、それだけで勝ったも同然なのだ。
「お前の負けだ。血液さえ手に入れれば後はお前を殺すことぐらい容易いんだ。」
脅迫。
ここで惹け。
というより、これ以上戦うことなど自分にはできない。
身体が剣術を覚えているとは言え、体力には自信がないのだ。
「てめぇ・・・。」
わき腹を押さえて、相手を睨みつけるアサシン。
なぜだろうか・・・その姿がどこかで見た事あると思ったのは・・・・。
「取引だ、ニンジャ。貴様たちの正体を教えろ。・・・ソレが飲めるならこの魔剣ごとお前に差し出しても良い。」
“え?ちょっと!”
驚いた声を上げたのはシャーリーの方。
だけど、コレは妥当な取引だ。
相手は彼一人ではない。
おそらく、上がいる。
そいつらを探ることは今、目の前の男を殺すことよりも重要なことだった。