魔道師と暗殺者
悠人の剣を持っていた右手から鮮血が飛び散る。
崩れ落ちる悠人と、地面に落ちる魔剣。
「俺の勝ちだ。」
アサシンは勝ち誇った顔を相手に浮べ、魔剣を拾い上げる。
悠人に手はない。
振り上げられる魔剣。
万事休す。
と、その瞬間。
「!」
サイレン音が悠人たちの耳に響いた。
こちらに向かっている。
誰かが通報したのだ。
こんな時間・・・誰もが寝ていると思った自分が油断した。
「ちっ!こんなところで・・・。」
アサシンが舌打ちすると、その身体能力を駆使して、どこかに消え去ってしまった。
「くそっ!」
一人、取り残された悠人から悪態がもれる。
“あなたも逃げないとマズイわよ”
わかってるよ。
何とか、右手を押さえながら、悠人はゆっくりと立ち上がる。
そして・・・。
「あのヤロウ・・・・・・・。絶対、殺してやる。」
それは、誰に言うでもない、自分自身への宣言だった。