魔道師と暗殺者

「腹が痛いんだったら、保健室へ行け。なんなら同行しようか?」


「そういって、お前、一時間目サボりたいんだろう?」


「友人のありがたい心遣いを、そうやって受け取るか?」


「悪い・・・だけど、本当に大丈夫だ。しばらくしていれば治る。」


「・・・そうか?」


 悠人は本気で心配そうな表情を浮べ、自分の席へもどる。


 とたんに、悠人の傍に駆け寄る先咲さんの姿を見ることができた。


 ・・・・・・・よかった・・・・。


 心から思う。


 多少の怪我は負ったものの、とりあえずあいつらが笑顔でいるなら、ソレで良いや。


「あれ?真琴は?」


 言いながら、あたりを見回す。


 どうやら、休みらしい。


 珍しいこともあるものだ。


 風邪なら、少しお見舞いに行くのも悪くないな・・・。


 悠人と先咲さんを見て、心から思った。


 さて・・・それじゃあ、一時間目の授業の準備を始めるとしよう。


 由良は教室の机に常備用意している教科書類から、一時間目、物理の教科書を取り出そうとして・・・。

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