魔道師と暗殺者

「ん?」


 ヒラヒラと舞い落ちた、紙切れが気になった。


 こんなもの、机の中にいれた覚えはない。


 実は商売柄、異常な記憶力を持っている由良、たとえ、机の中に常備教科書を入れっぱなしでも、その内容は全て把握しているのだ。


 その中に、このプリントは入ってない。


 誰かが、イタズラで俺の机の中に入れたのだろうか?


 そんなコトを思いながら、プリントを拾い上げる。


 そこに書かれていたのは・・・・。


『背景、暗殺者様。あなた様の大切なご学友は預からせていただきました。返して欲しければ、以下の場所まで来ていただく存じます。』


 パソコンで打たれた器用な機械文字。


 ご丁寧に、全身を縄で縛られ、目隠しされている状態の真琴の写真まで同封してある。


 誘拐されたのだ。


 犯人なんて、だいたい予想がつく。


 昨日の黒フード。


 あのヤロウ・・・・!


 由良は怒りに任せて、机を立ち上がると、急いで教室を後にした。


 舞い落ちた紙切れも気にせずに・・・・・・・・。

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