魔道師と暗殺者
「絶対、ぶっ殺す。」
あの時、拳銃はあいつの武器ではなく、心臓を狙うべきだったのだ。
なんと言う油断。
それが、このざまだ。
由良は、頬を両手ではたいて気合を入れる。
武器はなくとも、素手でやる気だった。
しかし、次の瞬間。
「待てよ・・・。お前、一人でどこに行く気だよ。」
とたんに肩をつかまれて、由良は飛び惹いた。
そこにいたのは・・・
「悠人・・・?」
膝に手を乗せて息を切らしている悠人だった。
誰が聞かなくても、ここまで全力疾走してきたコトがわかる。
「お前、どうして・・・?」
ソレより、どうやってこの短時間で、この場所まで・・・って、ここはアイツの家のすぐ傍だ。自分が知らない近道を知っていても不思議はないな・・・。
「どうしてだって、お前こそ正気か、脅迫状の『一人で来い』なんて、常套句だろうに?本気で守る馬鹿がどこにいるんだよ?」
言われて、由良は脅迫状を自分が持っていないコトに気がつく。
しまった・・・教室に忘れてきたんだ。
そして、ソレを見てこいつまで来てしまったのか・・・。
何たる失態。
なんたる醜態。