魔道師と暗殺者

「仕方ないだろう?良いから、お前帰れよ。ここは俺一人で何とかするから。」


「何とかなるわけねぇだろう!いつもの喧嘩とはワケが違うんだよ。相手が拳銃とかナイフを持っていたら、どうするんだよ!」


 悠人の頭に浮ぶのは、昨日のニンジャ。


 もちろん、アイツがやったことではないことぐらい予想できるのだが、それでも悠人は昨日の影がちらついて離れない。


 全身を黒装束に包み、拳銃とナイフをまるで自分の身体の一部のように扱う全身凶器。


 アイツは、まるでゴミを捨てるように人を殺せる人間だ。


 そんなヤツと由良を戦わせるわけには行かない。


「ソレこそ、お前も危険だろう?」


「俺は大丈夫だ!いいから、お前こそ帰れ、この森の中なら俺の庭みたいなもんだ。俺一人で何とかしてやる。」


 ここならシャーリーがいる。


 それ以外にもシャーリーの仲間のカラスや悪魔、それに、まだ、自動的に消せる方法を知らなかった頃の自分が練習用に引いた魔方陣が多数残っている


 何を考えて、この場を選んだのかわからないが、この場所だったらいくらでも勝機がある。


< 88 / 163 >

この作品をシェア

pagetop