魔道師と暗殺者
「おい!悠人!なに馬鹿言ってる!」
由良の叫び声が聞こえた。
「うるせぇバカ、お前には関係ない話だ!ひっこんでろ!」
そう・・・
これは、魔道師の問題。
そこに一般人の由良や小松さんまで巻き込んでしまった。
・・・・・・・すまない。
そんなチンケな言葉では謝罪できないかもしれないが、せめてここで俺たちのことは忘れて欲しい・・・。
全ては・・・俺のような矮小で臆病者の魔道師が自らの命ほしさに、こんな国まで逃げてきたのが悪かったのだ・・・。
「・・・・・フム。確かに悪くない条件・・・いや、むしろそこの君を手に入れるより、優良か・・・。良いだろう。その条件を呑もう。良いだろう・・・。ミコト、そいつからナイフを抜け。」
魔道師の男はそのいやらしい笑みをますます深くして、悠人の条件をのんでくれた。
美琴さんがナイフを抜くと、鮮血が飛び出し、さらに痛みが増すが弱音を吐くわけにはいかなかった。
足を進めようとすると、由良が自分の肩をつかんできたが、力ずくで取り払う。
右腕が痛いんだ。
そんな力強くつかむなよ。
「いい加減、小松さんを放せ。どうせ、逆らいやしねぇよ。」
男に近付き、両手を上に挙げる。
そこまで示せば、自分に打つ手はない。
お前も魔道師なら分かるだろう?