魔道師と暗殺者

「ふむ・・・いい覚悟だ。良いだろう。」


 男が口にして小松さんから手を放す。


 ソレを慌てて、左腕だけで押さえて、その場にゆっくりと下ろす。


 その顔はとても綺麗で、由良が少しだけ羨ましくなった・・・。


「由良・・・小松さんを頼む・・・。」


 ソレが、別れの言葉。


 ・・・・・・・・・・ありがとう、由良・・・・。


 ・・・・・・・・・・今まで、本当に楽しかった・・・・・・・・・。


「ソレでは行こうか・・・。歓迎するよ。桜沢くん・・・。だが、その前に・・・。」


 男は坦々と自分を促し、そして・・・。


「一応、用心のためだ。ミコト、ナイフでそいつを刺しておけ。」


 簡単に裏切った。


「てめぇ!」


 言葉より先に、美琴さんのナイフが由良の心臓へ貫く。


 流れる鮮血。


 倒れる由良。


 駆け寄ろうとしたら、男に血だらけの右腕をつかまれた。


 激痛が走るが、今はそれどころではない。

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