苺のお医者さん。

お医者さんのお願い



 ちょっと待てーーーい!!!
 おかしいでしょ、これ!!
 だってさっき、苺の香りでほわ~んってなったのに!!!
 今目の前にいる人は・・・
 *つんつんした頭を金髪に染めている(この時点でアウト。←何が)。
 *両耳にそれぞれピアスが4、5つづつ(いずれも十字架とか羽根とかチャラいの。)

 *服は上に、鎖骨が見えるくらいに胸元が開いたシャツ。で、黒地に白で英語のかっこいい筆記体がプリントされている。下はダメージジーンズ。(でも草履はいているのでおしゃれにみえない…。)
 *たばこくわえている。火はないけど。
 *顔はあごと鼻はすっきりしている。目はつり目。
 そして…。
 「…(…ギロリ…)…。」
 「…(ヒイィ(((°Д°;))))…!!」
 目が怖い!!!眉間にしわ寄ってる!!つり目効いてる!!
 早く逃げないと!!…はっ、まだお菓子がぁ!!早く渡さないと…!!
 私はお菓子を彼にぐっと、手をつきだすようにして渡した。
 「あの、これ、あいさつというか…。(もごもご)」
 「………(ジロジロ)。」
 私は目線の先をお菓子に合わせ、彼と合わせないようににした。ヤバい、緊張する…。
 私が意味のない緊張をしている間に、彼は右手を動かして、お菓子を受け取ろうとした。
 
 そしてその動作の中には、また苺の香りがふくまれていた。
 (…?この人、苺の香水でもつけているのかな?…似合わないんだけども…。)
 でも、この香りは好きだ。気持ちが落ち着くし、苺好きだし。
 私が苺の香りに集中していたからか、彼がお菓子を受け取ったのに気付かなかった。あわてて出しっぱなしの手を引っ込める。
 彼はお菓子をなんじゃこれという感じに眺めていて、ひっこめた手に気付いていないようだった。そしてお菓子を眺めたまま言った。
 「どーモ。」
 そっけない言い方だなっ。
  
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