恋愛LEVEL−2−
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智也にちゃんと話さなきゃいけない。
あたしは朝からそう決心していた。
[今日、昼休みに視聴覚室に来てくれる?]
そうMailした。
何かを察したのか、智也は朝からあたしの前に姿を見せなかった。
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そして、昼休み。
お弁当を食べてから視聴覚室に向かう。
視聴覚のドアが少し開いているのに気付き、その隙間から中を覗いた。
窓際の机の上にあぐらをかいて座り、外を眺めている智也がいる。
太陽の陽射しが智也を射すように当たって、カッパー色の髪の毛がより一層赤く光っていた。
遠くを眺めるような目がとても綺麗で、思わず見とれてしまう…
ガラッ…
あたしがドアを開けたと同時に、智也の真剣な顔があたしに向く。
「千秋♪」
そしてまたいつもの無邪気な顔をしてあたしに笑う。
正直、この笑顔を崩したくない。
あたしは、頭の中で必死に言葉を探しながら智也の近くに行った。
「智也…あのさ…「…嫌な話なら聞きたくないな♪」
ズルイ…
あたしは俯く。
智也はそんなあたしの髪にサラっと指を通して言う。
「…やっぱり、俺じゃダメだった?」
「…智也。ごめん。あたしにはやっぱり奏しか…」
智也はフッと笑って、視線をあたしから外に向ける。
「…そっか。残念…。」
「…ありがとね。智也。」
智也は一瞬、間を挟んで、あたしの頭をぐしゃぐしゃっとした。
「お兄に千秋を渡すよりいいよ!!」
そう言うと、わざとニカッと引き攣りながら笑った。
「…ともやぁ…」
あたしは智也が無理して笑う姿が切なくて、ぽろぽろと涙を流してしまう。
「な、泣くな!千秋!泣きたいのは俺だっつうの!!」
「…うぅ…」
「あ〜あ!!俺があのオッサンとタメだったらなぁ!!絶対負けないのに!!」
あたしは、また泣いた。